構造と進化を知って上手くなろう グリップ力って何だ?編2

昨日の続きとなります。
昨日話の途中で「ランニングしている靴の底みたいに考える」と出てきました。

今日はタイヤの接地面をランニングしている靴の底に例えて話を進めていきます。


これから述べようとしている事は、ランニングで感じる足の感触であると同時に、ライダーがライディングで感じるグリップ・フィーリングでもあると思います。
ランニングで靴がかかとから接地していくと、体重によって靴底は変形していきます。

その変形によっても、靴底のゴムの路面への食いつき感が生じているはずです。
あたかも靴底のパターンの吸盤が吸い付くようにとでも言いましょうか。
これと同じことがタイヤでも起きています。
タイヤが設置していないときは、トレッド面は中心部が膨らんでいます。
タイヤは周方向には円形ですし、横方向にラウンドを持つプロファイルになっているからです。
ところが、それは設置することでフラットになり、接地面内ではゴムは引き伸ばされるとともに、滑りが生じることになります。
また、コーナーリング中においては、接地面は複雑に歪められ、変形と滑りが生じてきます。
これによってゴムの分子は引き伸ばされます。
そしてゴムの分子は路面の分子に吸い寄せられます。
ひとつには、これによって摩擦力が生じています。解りやすく言えば、単にゴムを押し当てるより、引き伸ばしたり縮めながら押し当ててやることで、摩擦力が大きくなるという事なのです。



こういう状態で生じる摩擦力を、粘着摩擦力と言います。
一般に、コンパウンドがソフトだとグリップがいいとされるのは、ゴムが路面の凹凸に食い込みやすい上に、ゴムが引き伸ばされやすく、粘着摩擦力が大きくなるからでもあるのです。
例えば、ランニングで路面を蹴りだそうとして足元が滑るとき、足の裏で踏みにじるように足首をひねりながら走ると、滑りにくいことがあります。
靴底のゴムを動かすことで接地面内での滑りを促進し、粘着摩擦を大きくしているのです。
もちろんそれが過ぎると、ゴムと路面の分子が引き合おうとするのを阻害してしまい逆効果にもなりかねません。
つまり、タイヤはほんの少し滑ったほうがグリップがいいと言う事になります。
この事に付いては追々詳しく記事にして行こうと思っていますが、タイヤのグリップ力の要素は、この粘着摩擦だけではないのです。
もう一つ大切なものがあるのですが、今日はこの辺で切り上げまた次回ということにしたいと思います。
(ちなみに、次回もランニングの靴の例えを使う事になると思います。)

コメント

  1. ここまで原書の内容をそっくり写すのであれば、出典を載せるのが流儀だと思います。内容は原著よりも噛み砕いてとっつきやすくしてあるので、良い記事だと思いますが、やはり転用は良くないです。

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