来年のMotogp開幕戦と今年のWSBK最終戦はカタールで開催できなくなりそうです。

今月初頭から中東情勢が悪く、今年のWSBK最終戦と来年のMotogp開幕戦は開催出来ない可能性が浮上してきました。


サウジアラビア通信社(SPA)は、「カタールは、ムスリム同胞団やイスラム国、アルカイーダを含む、地域の安定をかく乱することを目的とするテロ組織や過激派組織と接近している」と報じ、ペルシャ湾岸の産油国・バーレーンが6月5日、隣国カタールと国交を断絶すると発表しました。

カタールがテロを支援している理由で国交断絶を発表した国は現時点で6カ国となりました。

日本の外務省は、空路、陸路、海路からカタールに直接出入国ができなくなる可能性があるため邦人に対し注意喚起しています。Motogpに関しては、すでにカタールとドルナ社との契約が2026年までとなっていますが、既に日本の外務省が入出国できなくなる可能性があるから注意しろ!!と言ってますので、WSBK最終戦の11月、Motogp開幕の2018年2月には、ライダーの出身国によっては入国できない事態が発生しそうです。



ここで、カタールサーキットが、どんなサーキットか改めておさらいしてみましょう。

照明
産油国特有の資金力を発揮し、1,000本の照明灯を立てて、540万ワットの明るさを確保ています。
サッカースタジアム70個分の照明というのがロサイルナイトレースの宣伝文句です。


いつもの昼間のレースと違う点は、路面に映るライダーの影の様子です。
昼間のレースなら太陽が唯一の照明だから、一方向に伸びる影だけが濃く発生します。
ところがロサイルのナイトレースではライダーは2ヶ所以上の照明灯によって2つ以上の影が薄く発生するのです。

自分の後ろに他のライダーが迫っていることを確認する要因の一つに、「路面に映る影を確認することで認識する」という手があるのですが、その影が、いつもと違うので、初めて走るライダーは少し戸惑うことになります。

雨が降った場合は、濡れた路面が照明の光を乱反射してライダーを惑わせてしまい危険なので、レース開催自体が中止されます。

夜露が発生する
2008年から2010年まではGP125の決勝が20時、GP250の決勝が21時、MotoGPの決勝が23時に行われました。

2011年から2014年まではmoto3(2011年はGP125)の決勝が19時、moto2の決勝が20時、MotoGPの決勝が22時に行われました。

2015年から2017年まではmoto3の決勝が18時、moto2の決勝が19時、MotoGPの決勝が21時に行われました。

年を重ねるごとにレース開始時刻が早まっています。

ロサイルサーキットは海に近く、夜になると湿度が上がって蒸し暑くなり、路面に夜露が発生するのです。

そうなると、路面状況が悪くなり、転倒者が増えてしまうことがわかってきました。
そこで夜露を回避するため、レース開始時刻を早める措置がとられています。

路面温度が下がっていく
時刻が進むにつれて気温と路面温度が下がっていくという、いつものレースとは真逆の現象が起きるので、
タイヤメーカーなどのメカニックたちは毎年頭を抱えます。

体調管理が難しい
ライダーたちは体調管理にも気をつかいます。
いつもなら朝早くに目を覚ましてホテルで食事してからサーキットに行き、日が暮れるまで忙しく作業し、夕方にホテルへ帰って食事を取り、早めに就寝します。
しかしロサイルのナイトレースは違い、夜の22時まで走行し、それからチームのメカニックと打ち合わせをして、ジャーナリストの質問に答えます。
ホテルに辿り着くのは深夜1時~2時となり、レストランなど開いていません。
朝目を覚ますのは11時ぐらいで、もうホテルのレストランは朝食を提供してくれません。
ホテルのレストランで食事するということが難しく、どこかで食べものを買い込んでそれを食べるか、チームのコックさんに作ってもらいます。

いつもは明るいうちに作業しますが、ロサイルでは18時程度までひたすら何もしないで待たねばなりません。
なので、集中力を保つのが難しいそうです。




雨に弱い
カタールの首都ドーハは年間降水量40mm(ちなみに東京の年間降水量は1,500mm)で、滅多に雨が降りません。

そのため、かつて2016年までは、タイヤメーカーもレインタイヤを持ち込んでいませんでした。
しかし、10年に1度ほどの確率で雨が降ってしまうようで、雨が降るとライダーも主催者も大慌てになるハプニングレースになってしまいます。


2009年4月12日(日)の125ccクラス決勝の3周目にいきなり雨が降り出し、わずか4周でレース成立となりました。
雨が止んだ250ccクラスは13周でレースが終わったが、MotoGPクラス決勝の直前にまた雨が降って路面が濡れ、
MotoGPクラス決勝のみ翌日月曜日に順延されたことがあります。


2017年3月25日(土)の夕方に雨が降って路面が濡れてしまい、そのまま日が暮れました。
夜になって予選が始まる時刻になると雨が止んだが、日差しがないのでいったん濡れた路面がなかなか乾きませんでした。
滅多に雨が降らないので、排水のことを全く考えていないサーキットで、コース脇の人工芝やグラベルの下に水が溜まり、そこから水がじわじわと湧き出てコースの中にどんどん進入し、排水設備が完備されているサーキットでは考えられないような光景が展開されまた。
結局、2017年の予選は全クラスで中止になりました。



2017年3月26日(日)のMotoGPクラス決勝の直前にもパラパラと雨が降り、本サーキットのナイトレースでは「路面が濡れたら即レース中止」なので、誰もが非常に神経質になりました。
スタート前のウォームアップをいつもより1周多い、2周行って路面が乾いていることを慎重に確かめるなど、異例の進行となりました。

開幕戦(MotoGP)
2008年からMotoGPの開幕はカタール開催です。

すでにカタールとドルナ(MotoGP開催者)との契約が結ばれ、2026年までMotoGPが開催される事になっています。
ナイトレースの開幕戦であることも変わりません。

カタールはドルナにとって大スポンサーであり、まさに御大尽様です。
カタールから支払われる金によって、全てのチームが年間を通じて移動に使用する経費を賄っています。

表彰台の風景(MotoGP)
中東のペルシャ湾湾岸の産油国ということで、白い服を着た、いかにも産油国の富豪といった人たちが登場します。

かつてカタールは原油が出るまで、真珠の名産地だったので、トロフィーは真珠をかたどったものが恒例となっています。

イスラム教のお国ということで、アルコール類は御法度で、2014年までシャンパンファイトは行われていません。
しかし2015年になって、とうとうシャンパンファイトが解禁されました。
ただ、中身はノンアルコール飲料であり、Freixenet社のAishalというドリンクで、いわゆるハラールです。




コース紹介(MotoGP)
概要
コースの形状は、体内で真珠を作り出すアコヤガイを模した形になっています。

前半は低速コーナーが多いストップアンドゴーのレイアウトで、後半は高速コーナーが並ぶテクニカルコースであり、二面性を持っています。

メインストレートは1,068mと長く、流れるような高速セクションから長いメインストレートに入っていくので、最高速が良く伸びます。
MotoGPが開催される18ヶ所のサーキットの中でもトップクラスの最高速となります。

ドゥカティの成績が良いサーキットとしても知られており、開幕戦のカタールで好パフォーマンスを発揮し、「今年のドゥカティは違うぞ」と印象づけることが毎年の恒例です。


パッシングポイントがかなり多い
メインストレート、メインストレートエンドの1コーナー、4コーナー、6コーナー、10コーナー、
12~14コーナー(右3連発)、15コーナーあたりが主なパッシングポイントです。

砂埃のサーキット
いつも砂埃にまみれているサーキットであり、タイヤに厳しく、路面の砂埃がサンドペーパー(紙やすり)のようにタイヤをこすり、タイヤをすり減らしてしまいます。
さらにはアブレーションといって、タイヤが荒れる現象が発生します。
タイヤが荒れてしまうと、その荒れた部分を中心にどんどん消耗が進んでしまいます。

コース脇の人工芝がたっぷりと砂を含んでいる
ライダーがコースを外れてコース脇の人工芝に乗り上げると砂がパッと舞い上がります。

レースウィーク序盤は路面に砂埃が多いため、マシンが砂埃を巻き上げながら走ることになり、滑りやすい。
決勝当日になると、多くのマシンによって路面の砂埃が掃除された格好になり、さらには走行ラインの路面の上にべったりとタイヤのラバーが乗って黒くなり、グリップが良くなります。

逆に、多くのマシンが通った走行ラインは砂埃が少ないが、その走行ラインを外してしまうと砂埃が多く、滑ってしまいます。
2013年は特に砂埃の量が多く、走行ラインを外すだけで砂埃が巻き上がっていました。

砂埃の問題もあり、パッシングは走行ラインを外れ気味になる行為なので、慎重に行わねばなりません。

メインストレート~10コーナー
メインストレートエンドの1コーナーから10コーナーまでは直線と低速ヘアピンコーナーが続き、ブレーキング性能を問われるストップアンドゴーのレイアウトです。

メインストレートは長く、moto3だとスリップストリームを使ったパッシングが多く、順位変動が盛んに起こります。

1コーナーはMotoGP有数のハードブレーキングポイントになっています。
ナイトレースの場合は、ブレーキディスクが赤熱する様子がテレビカメラによって映し出されます。



2コーナーは、使用頻度が低いタイヤ左側を久しぶりに使う場所であり、転倒が多発する場所です。

3コーナー直前は、僅かながら上り勾配になっています。

4コーナーは有力なパッシングポイントで、ブレーキングしつつ先行するライダーのインに入りこむシーンが多いです。

6コーナーは本サーキットでもっとも低速になるコーナーで、パッシングポイントの1つになっています。

7コーナーを立ち上がると下り勾配になり、緩やかなS字となっている8~9コーナーを切り返します。

9コーナーの立ち上がりは上り勾配になっています。

10コーナーも低速のヘアピンコーナーで、パッシングポイントになってます。

10コーナー~最終コーナー
10コーナーから最終コーナーまでは、高速コーナーリングが続くテクニカルなレイアウトになっています。

10コーナー立ち上がりから11コーナーは典型的な「アクセルを開けてパワーを掛けていくコーナー」で、電子制御が統一化されて低レベルとなった2016年は、ここで各車のリアタイヤから白煙が上がっていました。

緩やかな11コーナーで加速し、先行するライダーの背後にぴったりと付け、スリップストリームを使って加速し、12コーナーでズバッとインに入っていくのが多く見られるパッシングシーンです。

12~14コーナー(高速の右3連発)は世界でも珍しいほどのコーナー連続地帯で、最大排気量クラスではずっとマシンが右に傾き続けることになります。

14コーナー立ち上がりから下り勾配になっており、ここで勢いを付けて高速の15コーナーに突っ込んでいきます。

最終コーナーにはしっかりとカント(傾斜)が付いており、高速コーナーリングが可能になっています。

最終コーナーではパッシングを仕掛けずに綺麗なラインを通ることに専念し、メインストレートでの加速を伸ばしつつメインストレートで抜くのがセオリーとなっています。



コーナー1つ1つの特徴を取り上げてみましたが、夜間開催というだけでなく、非常に面白いレイアウトのサーキットであることが解っていただけたでしょうか?

私としては、今年のWSBK最終戦が開催できなかった場合は、2008年にカワサキのコースであるオートポリスで日本ラウンド復活の話があり、その後、世界不況で話自体が無くなってしまった経緯のあるオートポリスで開催してはいかがでしょうか?
(私の家から近くなるし・・・)
FIMさん是非 検討の程、宜しくお願いします!!

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