気になるパーツ サムブレーキ。Motogp ドヴィジオーゾ好調の理由もサムブレーキ!?

Ducatiのmotogpライダー アンドレア・ドヴィジオーゾは、今季 第6戦イタリアGP 第7戦カタルーニャGP 後半戦は第11戦オーストリアGP 第12戦イギリスGPと、現在まで前半戦と後半戦に2戦連続で勝利をあげており、現在までの勝利数は4勝で、第8戦TTアッセン以来ポイントリーダーに返り咲きました。
ドヴィジオーゾはmotogpクラスでは通算6勝しており、シーズン途中であるにもかかわらず、通算勝利数の2/3を今季あげています。


今年のドヴィジオーゾの好成績は、ただ単にデスモセディッチの戦闘力が上がっただけでしょうか?brembo公式ページでブレンボがドヴィジオーゾへ与えたサムブレーキと、サムブレーキを使用し始めてからのライディングの変化、近年のサムブレーキの役割について解説していますので、ブレンボの記事を交えながら紹介したいと思います。

DUCATIがイタリアGPおよびカタルーニャGPと、今期のMotogp前半戦で、連続勝利を飾ったのは、実に2010年のケーシー・ストーナー以来のことです。
何故、今年のドヴィジオーゾがここまでのレベルで走ることができるのでしょうか?
 昨年のレース前半まで、ドヴィツィオーゾがMotoGPレースで勝利したのは、わずか1回のみでした。
それが今季は、既に4勝を挙げています。

彼のパフォーマンスはここ最近の12~15レースで完全な変貌を遂げましたが、それには様々な要因が関連しているそうです。
bremboによると、その成績向上の時期とちょうど重なる出来事としては、ブレンボがドヴィジオーゾのためだけに、あるテクニカルソリューションを提供したことが挙げられます。

昨シーズンの後半、ドヴィンツィオーゾは徐々にハンドレバーを使ったリヤブレーキのコントロールに慣れるよう訓練を積んでいました。
実はこれが、ブレンボのエンジニアたちが彼のためだけに復活させたコンポーネントです。
ここ数カ月のレースやテストを見てみると、彼は非常にうまくこのインストルメントを使いこなせるようになっていますが、これは単にブレーキングセクションでバイクのスピードを落とすだけではなく、加速時に車体のバランスを取る上でも大きく役立っています。

また、危険な横滑りの発生を回避するため、彼は最適な状態に補正された「クランプ」を使用して、トラクションコントロールを文字通り「手動」で行っているのです。
 では、このちょっと変わったリヤマスターシリンダーをブレンボが設計・製作した理由、つまりこのコンポーネントを使うことで得られるメリットについて、詳しく見ていきましょう。



サムブレーキ開発の起源
ブレンボのエンジニアたちが最初にサムブレーキマスターシリンダーを開発したのは、オーストラリア人ライダーで、5年連続チャンピオンを獲得した絶対王者 ミック・ドゥーハンが抱える身体的ハンディを補うためでした。

ドゥーハンは1992年の第8戦オランダGPでの予選走行中に転倒を喫し、その事故で彼はあと少しで右脚を切断されてしまうほどの重傷を負いました。
それ以来、彼は足で力のコントロールを行うことが困難となったため、ブレンボのエンジニアたちが彼専用のブレーキシステムを設計しました。

それは、右側のフットペダルの代わりに、左ハンドルバーに配置されたハンドコントロールを使用してリヤブレーキを制御するというものでした。
ブレンボが提供したこのブレーキシステムは、ミック・ドゥーハンのレースへの復帰、更には1994年から1998年までの世界選手権5連覇に大きく貢献した要素の一つです。
現在でも多くの専門家が、サムブレーキマスターシリンダーこそがミック・ドゥーハンの圧倒的な快進撃に不可欠のファクターであったと指摘しています。


しかし、ドゥーハンの例に続いて何人かのライダーが同様にこのブレーキシステムを試しましたが、結果は必ずしも良好とはならず、誰もこのオーストラリア人ライダーほどのスキルを持ち合わせていませんでした。
その後、このブレーキシステムはしばらく影を潜めていましたが、最近になってサムブレーキマスターシリンダーが再び注目されています。
冒頭のドヴィジオーゾは2016年から同シリンダーを使用しており、今年からはダニロ・ペトルッチほか、複数のライダーが実用前の実験段階に入っています。
 Motogpだけならず、WSBKですと、トム・サイクスもブレンボ製のサムブレーキマスターシリンダーを大変気に入り使用しています。


サムブレーキのメリット
最近になって再び注目され始めたサムブレーキマスターシリンダーですが、現在の用途は当初の開発理由である「リヤブレーキのコントロール」から変化しています。
現在のライダーの使用目的は、主にコーナーでの横滑りの回避であることがほとんどです。
実際のところ、サムブレーキマスターシリンダーはトラクションコントロールのための手段の一つとして有効です。
ライダーは、コーナリングの最中にレバーを操作することでタイヤを最適なトラクションポイント付近に留まらせ、また、バイクを素早くまっすぐに戻すことができます。
更に、従来のリヤブレーキに対してサムブレーキマスタ―シリンダーはより人間工学的に優れたコンポーネントであると言えます。




靴のサイズが26.5cmを超えるような大きな足のライダーにとって、リーン角が60°以上となるコーナリング時にはバイクと路面の距離が非常に近くなるため、ペダル式のレバーを上手に操作することが非常に難しい場合があります。

一方でサムブレーキマスターシリンダーであれば、(ある程度の慣れが必要ですが)より細かな操作が可能となり、ライダーはバイクのコントロールをより精密に行うことができるようになります。
 現在、MotoGPで使用されるブレンボのサムブレーキマスターシリンダーはペダル式のマスターシリンダーと併用する形で実装されています。
リヤマスターシリンダーはデュアルサーキット式ブレンボマスターシリンダーに改良され、状況に応じて従来のペダルとサムブレーキのどちらからでもリヤブレーキのコントロールを行うことができるようになっています。

サムブレーキ装着車への慣れ
今まで脚(右足)で操作していたものを手(親指)で操作することになるため、サムブレーキマスターシリンダーを適用するには、やはりある程度の「慣れ」が必要となります。
また、何度も実走を重ねながら、ハンドルバーのどの位置にそれを配置するのが最適であるかを見つけ出し、理想的な補正状態の確保とライダーのオートマティズムの形成(無意識的に操作を行うことができるレベルまで身体に手順を叩き込むこと)を行う作業も必要です。
例えばホルヘ・ロレンソは昨年の2月からオーストラリアでサムブレーキマスターシリンダーの実装に向けて実験を開始しましたが、彼は数年前のセパンでヤマハが提供した同様のブレーキシステムを試しており、その時は使用を取りやめていました。
ロレンソがYAMAHA時代に使用していたサムブレーキ
現在、複数名のライダーがブレンボのこの種のブレーキシステムを試しているところです。

一般人の私たちに購入はできるのか?
結論から申し上げると 購入できます。
日本国内での販売はまだですが、本国サイトには本国サイトには、ラインアップされています。
購入には、e-bay公認の代行輸入サービス セカイモン を利用するのも良いですし、輸入バイクパーツ通販の SPIRAL SPINNER さんでも購入できます。

しかし、このマスターシリンダーはレース専用設計となっており、操作は左手で行います。
また、13 mmまたは14 mmのピストンを使用し、ピボットディスタンスは16 mmです。このコンポーネントはレースに特化して設計されているので、十分理解して購入して下さい。
量産型バイクに取り付ける際には別売りの専用アダプターを使用する必要があるそうです。
 更に、最も重要な注意点として、「本製品の取り付けは十分な知識と技術を有する専門の技術者、特にレーシングセクターでの経験が豊富な技術者が行ってください。」との事です。

さて、何年も前から「リアブレーキ 使う・使わない問題」が度々持ち出されますが、エディー・ローソンやケビン・シュワンツは使わない派で、ウェイン・レイニーやミック・ドゥーハンは使う派で有名です。

しかし、結局はその時代のマシン特性やライダーの乗り方や好みなど、色んな要素が絡み合ってくるので、「リアブレーキ 使う・使わない問題」は永遠に繰り返されると思います。

ちなみに私はガッツリ踏む派です。
なので、個人的には前から試してみたかったパーツで、速度の乗った1コーナーの侵入等で楽になるんではなかろうか?とか、周回が重なって、疲れからのミス軽減にも繋がるのではないだろうか?と思っています。

気になるブレンボのサムブレーキ マスターシリンダーの お値段ですが、
高い・・・・
1コーナーの体への負担軽減は自身の体を鍛えることで解決しようと思います。

bremboだけでなく、BabyFace さんでもサムブレーキキットを販売していますので、そちらを試してみるのもいいかもしれませんね。

ブレーキパーツの大手、BERINGER からも発売されています。

興味のある人は色々調べてみる価値はありそうです。

以上、サムブレーキについてでした。






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