動画有り!もてぎ2&4レース 結果 YAMAHAファクトリー2人のガチンコバトル!



8月20日(日)にツインリンクもてぎ2&4レースが開催されました。JSB1000のみの開催でしたが、個人的に今シーズン一番面白かったレースです。レースはA.R.T合同走行、予選とトップタイムを記録し、JSB1000クラスでの初ポールポジションを獲得した絶好調の野左根航汰 選手と中須賀克行 選手のマッチレースとなりました。土曜日の予選結果は、1位に野左根 選手、2位に中須賀 選手という結果で終わり、予選が終わったあとのコメントで野左根 選手は「明日は中須賀さんと真っ向勝負で勝ちたい」とコメント。一方、中須賀 選手は「明日は1-2を決めたい。もちろん僕が1だけどね」と両者ともに優勝は譲らないと言わんばかりのコメントで火花を散らしていました。決勝レースは序盤、中須賀 選手と野左根 選手の2人にヨシムラの津田 選手が続く展開となりました。




もてぎ2&4レース JSB1000クラス 決勝動画


オープニングラップから野左根 選手が前に出れば、すかさず中須賀 選手が抜き返すという展開に!
1周目の3コーナーで野左根 選手が中須賀 選手をアウトからかわし前に出たかと思えば、V字コーナーで中須賀 選手が野左根 選手のインを突き再びトップを奪い返します。
2周目の90度コーナーでは、再び野左根 選手が中須賀 選手を刺し前に出るものの、立ち上がり重視の中須賀 選手はクロスラインを取り、立ち上がり加速でトップを奪い返します。
それでも諦めず野左根 選手は、3周目の1コーナーで前に出ますが中須賀 選手が2コーナーで再び前に出て、中須賀 選手の鉄壁の走りが冴えます。

バトルをしているにも関わらず、ヤマハファクトリーの2台はハイペースで周回していたので、3位に付けていた津田 選手も必死に追うのですが、6周目の90度コーナーでオーバーランをしてしまい、津田選手は6番手にポジションを落としてしまいます。

津田選手が脱落したことで、トップ争いは完全に中須賀 選手と野左根 選手のヤマハファクトリー同士の維持とプライドを掛けたマッチレースとなります。
その後は、野左根 選手がしばらく中須賀 選手の後ろにピタ付けし、隙あらば前に出ようと何度もプレッシャーをかけます。

16周目には、再び野左根 選手が動きを見せます。
V字コーナー、ヘアピン、90度コーナーで中須賀 選手のインを取りクロスラインになるなど、接近戦が続きます。

レース開始前に中須賀選手はコメントで「後半になって誰かついてくるライダーがいたら、徐々にペースを上げていこうかな」と言っていました。
レースも終盤になった頃、開始前のコメント通り、中須賀 選手がいきなりペースを上げます。

野左根は少し離されますが、19周目にトップの中須賀 選手に引っ張られる形となり、野左根選手が自己ベストラップを記録し、中須賀 選手の背後に迫ります。

すると、中須賀 選手は更にプッシュします。
実際、見ていて「えぇ!?ここでまだペース上がるの!?流石ヤマハのエース!!」と驚いてしまいました。
0.1秒差が、たった1周で0.5秒差になる驚異的なスパートでした。
格の違いを野左根 選手に見せつけた形となり、「勝負あり」と思ったその矢先・・・
21周目のV字コーナーでフロントから中須賀 選手が、まさかの転倒を喫してしまいます・・・



その後、独走態勢となった野左根 選手は、今季2勝目、JSB1000クラス初のポールトゥウィンを挙げました。



野左根 航汰 選手のコメント
「ツインリンクもてぎは僕のホームコースですし、ここで連勝できたのはとてもうれしいです。
今回もトップ・中須賀さんの転倒による優勝ですが、前回は中須賀さんと勝負することができませんでした。
しかし今回は、レース序盤、中盤ではいい勝負ができましたし、前回よりも良い内容でした。
中須賀さんの壁はまだまだ厚くて高いですが、このツインリンクもてぎ2連勝をいいイメージにして、今後のレースを戦っていきたいです」


中須賀 克行 選手のコメント
いつもと同じようにブレーキングしたのですが、何のインフォメーションもなく転倒してしまいました。
何か煮え切らなくて、もやもやしたものが残る状態です。
もっとタイヤのことを理解しなければならないし、自分のライディングをもっと合わせていく必要もあります。
ただ、野左根選手はとても高いレベルでレースができるようになってきましたし、今回の優勝は心からおめでとうと言いたいですね。
ただ、次のオートポリスでは僕が真っ先にチェッカーを受けられるようにがんばります」

吉川 和多留 監督のコメント
「鈴鹿8耐を終えて、中須賀 選手と野左根 選手には、それぞれ気持ちをしっかりと切り替えてレースに臨むように伝えました。
そして中須賀 選手は、いいレース展開でしたし、野左根 選手も前回のツインリンクもてぎ戦とは違って、しっかりと中須賀 選手についていくことができました。
結果として中須賀 選手は転倒してしまいましたが、マシンをもっと17インチタイヤでの中須賀選手の乗り方に合わせていく必要があります。
ただ、チーム力として順調にポテンシャルを上げていることは間違いありませんし、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの1-2フィニッシュも近づいてきたと思っています。
今回も、YAMAHA FACTORY RACING TEAMを応援していただいた多くのファンの皆さま、そして関係者の皆さまに感謝いたします」

とのコメントです。



さて、今回解説にはクールデビル事、原田哲也 選手青木宣篤 選手が来ていて、中須賀 選手とタイヤのことについて詳しく解説してくれました。

青木宣篤 選手 曰く、
ここ10年以上16.5インチというサイズで2輪のレースは続いてきたんですけど、何で16.5インチにしたかというと理由がありまして、17インチからホイールサイズが0.5インチ変わってもタイヤの外径は全く変わりません。
ホイールのサイズが0.5インチ小さいわけです。
その分、タイヤのハイトは0.5インチ余分に稼げており、タイヤ自体のクッション性やコントロール性の差が0.5インチに凝縮されています。
しかし、市販車が17インチであることと、MotogpやWSBK等のレースでも使用されなくなった事から16.5インチの開発は打ち切られ、今年からJSB1000クラスでも16.5インチは使えなくなった経緯があります。

17インチと16.5インチではグリップ自体は正直変わりません。
しかし、ライディングをする上で限界まで行った時の滑り方が違います。
16.5インチは割と許容範囲が広く、ズルっと滑っても割と抑えてくれていたんですけど、17インチですと、ズルッ→スパッと転んでしまう事が多いです。
との事です。

中須賀 選手のレース後のコメントにも「いつもと同じようにブレーキングしたのですが、何のインフォメーションもなく転倒してしまいました。」と言っています。

「けど、鈴鹿8耐は何事もなく8時間走り切って優勝したじゃないの?」と思う方もいるかと思います。
2017年のFIM世界耐久選手権では、鈴鹿8耐まで16.5ンチホイール用のタイヤ使用が認められていたので、中須賀 選手の所属する、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは16.5インチを使用しました。
16.5インチと17インチ・・・ 指一本の太さの差しかない0.5インチ(12.7mm)だけの違いでここまでライディングスタイルが合わなくなるんだと考えさせられます。

過去の記事で、 全日本ロードレース第4戦 中須賀選手はお祓いに行くべき! という記事を書きましたが、ネタで書いたわけではありません。
ちょっとゲン担ぎとか、気分転換的な意味で行くのもいいんじゃないでしょうか?



もてぎ2&4レースが終了し、現在のポイントランキングは以下のようになります。

1位 津田 拓也  117pt
2位 高橋 巧   112pt
3位 渡辺 一馬  110pt
4位 藤田 拓哉    91pt
5位 濱原 颯道    85pt
6位 野左根 航汰   82pt
7位 近藤 湧也    66pt
8位 浦本 修充    63pt
9位 松崎 克哉    61pt
10位 山口 辰也    59pt

次は9月9日~9月10日に行われるオートポリスです。
私の地元での開催なのに仕事で行けないのが悲しすぎます(泣)
ポイントランキングも上位3人は均衡していますし、オートポリスを含んで今シーズンは残り3戦!
2017年度チャンピオンは一体どのライダーが手にするのでしょうか!?

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